トルデジアン レポート #11 3rd stage Tor des Geants
トルデジアン レポート #11 3rd stage
COGNE〜DONNAS(46.6km)
タイムチャートはこんな感じ。
Gogneライフベースの仮眠室では、起床予定時刻10分前には、身体が勝手に目覚めた。
目覚めと同時に襲ってくる、全身の疲労感。特に下半身への疲労は最悪だ・・・
スタッフが起こしに来るまでベッドの上でゴソゴソするが、ベッドの軋む音で周りに迷惑をかけたくないと思い、ベッドから起き上がり、テーピングを貼り、ウエアを着替える。
そしてシューズを履こうするが、右足のシューズ履けない・・・
浮腫んでいるのか、マメからばい菌が入ったのかわからないが、腫れてシューズを履くことができなくなっていた。
預けていたバハダ2と交換しようと試したが、バハダ2の方が足幅が狭く、全く入らない。
結局、マゾヒスト3のヒモを緩めまくって履くことができたが、小指外側が干渉していることは直ぐにわかった。(レース後やはり小指の爪は死んでいた。また、薬指との間にマメが出来ていた)
手持ちのハサミで干渉する箇所を切り取ることも考えたがさすがにやめた。
仮眠室ではハンドライトでゴソゴソしていたため、着替えや荷物整理に手間取ってしまった。
準備ができたため、テントへ戻り軽く食事と、タイムチャートと高低表とにらめっこしながら、今後の計画をたてた。
00時37分デポバックを預け、ライフベースを後にした。
【Cogne〜Rif.Sogno】
Cogneを出発すると、すぐにエイドが・・・
さすがに1kmも進んでないのに・・・と思うと、施設エイドであった。
その後、川沿いの緩い傾斜のついた道を進む。
夜なので山への取り付きを見落とさないよう注意深く進むが、一向に山に入る気配がない。
しばらくするとマーキングが見あたらなくなったが、しばらくすると発見し、安心した。
ずっと一本道なので、普通に考えたらロストはしないところだが、夜間ということ、2晩目、周りに誰もいないという不安が重なり合い、判断を鈍らせていたように今振り返ると感じる。
コースは途中で橋を渡り、川の反対側へ進み、橋を渡りすぐ右折。ロードをまた延々と進む。
3kmぐらい進んだのだろうか、斜め左に入る道があり、そこからトレイルに入る。
トレイルに入ると少し急登なところを進むが、すぐになだらかなトレイルになる。
しばらく進むとライトの光が・・・
エイドを発見!
Goilles(107.4km)に到着。
Cogneからそんなに進んでないため、コーラを飲み、すぐに出発する。
エイドを出てしばらくすると九十九折の登山道を進む。
しかし、それもあっという間に終わる。
その後は、草原や低い植生の中、永遠に続くトレースをアップダウンしながら進む。
見晴らしがよすぎて、ずっと先にいるランナーのヘッデンの光が見える。
その連なる光の先にRif.Sogneがある。
ほぼ軽いジョグで進むが何人かパスしていくことができた。
Rif.Sogneへのラストは少し登りだが、気になるほどの斜度ではない。
しかし、そこから見えるCol Fenetreへの九十九折の登りはなかなかのものがあった。
とりあえずRif.Sogne(116.74km/2534m)に到着。
ソファーには毛布に包まり何人か寝ていた。
ちょっと寝たい気もしたが、そこまで眠気がないので、パンとハム、コーヒーを飲み進むことにした。
※この小屋の女性スタッフは美人ぞろいでした。
Col Fenetreへ向けエイドを出ようとすると、ソファーの上でモゾモゾする女性が・・・Nさんだった。
そんなNさんの寝顔を横目にエイドを出発。
【Rif.Sogne〜Rif.Dondena】
Rif.Sogneを出ると九十九折の登りが始まる。
約1.8kmで約290mのアップ。
足元は比較的良いので、今までの1st、2nd stageの登りに比べれば全然余裕がある。
思いのほか早くCol Fenetreに到着。
果てしない向こうの空が朝をのぞかせてきた。
ここから延々2000m近く下っていく。
下り始めはガレガレのトレイルなので、足元に注意しながら進む。
次第に石畳みたいなところを走るので、足元が硬く、衝撃が伝わってくる。
ヘッデンの光の先にイヌの横顔が浮かび出す・・・
チョキ・・・
少し涙が・・・
溢れはしなかった。
だんだんと、おんたけの様なトレイルになる。
この辺りから調子が出てきて結構先行者をパスしていく。
いい感じでRif.Dondenaに到着。
【Rif.Dondena〜Chardonney】
Rif.Dondenaでは洒落たバーカウンターに座り、コーヒーとパンをいただく。
中は暖かくマッタリしてしまいそうだったので、長居せず出発。
外に出ると朝陽が・・・
Rif.Dondenaを出ると草原の中を走っていく。
美しすぎる朝日に何度も足を止め見惚れた・・・
闇を赤く染めるその美しさが、どこか怖い気もした・・・
この時、朝日が美しいと天気が崩れるという話を思い出す・・・
7時39分
Chardonneyに到着(129.82km/1450m)
結構いいペースで走ったので、想定時間より約1時間早く着いた。
Chardonneyエイドは朝早かったのか、ガラガラでチェックポイントなのにチェックしてくれるスタッフさえいなかった。
入り口を間違えたのかとさえ思えたが、しばらくしてスタッフが対応してくれた。
ちょっと下りを頑張りすぎたのか、足に疲労を感じた。
エイド内にマッサージスペースがあるので、マッサージして貰えば良かったと後々後悔した。
【Chardonney〜Pontboset】
Chardonneyを出ると、川沿いの散歩コース(草むら)みたいなところを通る。
腹筋したりできる、筋トレ器具が等間隔で設置されている。
次第にコースは、ゴロゴロした岩の上を進んでいく。
コケがあり滑り易かったように記憶している。
しかも、なぜかこの時わっきーさんと話をしながら進んでいた・・・
幻覚ではないが、軽く寝ぼけていたように思える。
ゴロゴロ岩ゾーンを抜け、一旦ロードに出る。向かいの山でカウベルがなっている。
いやいや登ることないから!
と、UTMBの苦い思い出が蘇る・・・
もうその手にはのらない・・・どうせ牛につけたカウベルだろ・・・
そう自分に言い聞かせる。案の定山を登ることはなかった。
ロードから樹林帯を進む。
樹林帯の中は日本のトレイルみたいであるが、時折見かける石造りの廃屋がイタリアである
ことを思い起こす。
樹林帯を抜けると、次第に街が見えてくる。
キリストが描かれた壁画の家や、死者を祀っているのか祠が数多く見える。
個人的に異様な感じがした・・・
これだけの街に人の気配が全くないからだ。
昼間に通っても異様な雰囲気を感じたぐらいだから、夜通過することになれば相当気味が悪いような気がする。
家と家の間を通る。
夜ならマーキングを見落としそうだ。
PONTBOSETに入った!
エイド発見
この辺になると少し生活感が出だし、車の往来もある。
エイドでは水の補給、コーヒーをいただき、すぐに出発。
Donnasまでもう少し・・・
さすがに眠気が襲い始めてきた。
【Pontboset〜Donnas】
Pontbosetエイドを出発しようとすると、上から日本人男性が降りてくる。
RUN WALK STYLEのIさんだ。
さすがに驚いた。
走力がある方だけに、前の方にいると思っていた。
水を切らしているみたいで、民家の湧き水を補充していた。
ここからIさんより、先行させていただいた。
ロードを少し下ると、樹林帯のトレイルに入る。
トレイルに入ったところで、ハイキングをしていた女性からお菓子をいただく。
「ジンジャージンジャー」と言っていたので、日本人を見て「忍者」「忍者」と言ってるのかと思った。
変な日本語を教えられたのものだと思ったが、どうやらお菓子の味がジンジャーだった・・・
ピリリとした大人の味だ・・・
この辺りはハイカーさんが多く、日本のレースみたいに道を譲ってあげると、逆に選手を優先的に行かせようとしてくれる。
トレイルランニングという文化の違いを感じた。
Donnasまで下りだけと思っていたら、小さい山を越えていく。
本来なら大した登りではないが、この時ばかりはこたえた。
廃屋を何箇所か通過する。
海外選手とも片言の英語で会話するが、噛み合わなくなり無言になる。
どうもフランス人なのか「フランス語話せないのかよ」的なことを言われた。
やはりトルデジアンはイタリア語、フランス語が多いように感じた(そりゃそうだ)。
途中で作業していたオッちゃんに、何本か木を担いで降りてきて欲しいと手伝いを依頼される。
断りきれず木を4本ほど担ぎ降りる。
(photo by Iさん)
ロードに出ると眼下に良い感じの街並みが! Donnasか!?
※RWS ZAINOを説明するIさん
街に出るとDonnasまで1時間ちょいの案内板が・・・マジで・・・
たぶんBardという街だと思う。
川を渡り、更に路地裏を進む。
ステキな街並みに写真を撮りまくる。
※シャッターを切らずにはいられない衝動にかられる。
振り返るとこんな感じ。
あの山から下りてきた。
まだまだ続く...
怪しい石像も・・・
黒魔術か・・・
撮影スポット!
カメラマンが待ち構えているので身だしなみを整える。
足場悪し!
足首もっていかれるべからず!
※トルデジアンの有名な撮影ポイントであるが、実はこのすぐ右側は幹線道路であり、バンバン車が通っている。
期待を胸にこのポイントを探していただけに、ゲンナリしたのも事実だった。
で、また路地裏・・・
ちょっと飽きてきた
人だかりが そろそろか!!
と思いきや、ここを左折しロードをあと1kmちょっと進んだ気がする・・・
12時11分 第3ライフベースDONNAS(148.7km/330m)に到着。想定時間を40分オーバー。
正直3rd stageをナメていた・・・
ここまで苦戦するとは。
とりあえずビールとメシじゃい!
日本から持参した明太子マヨネーズをペンネにかけ試みるも、マズかった・・・
ここで先行するEくんと会い、Iさんと3人で食事をする。
Eくん目が充血して、ウトウトしかけていた。
Iさんも3rd stageに少しやられてる。本人も下りがキツかったとおっしゃられていた。
ここでシャワーを浴び、3時間ほど寝ようと話し合った。
シャワー室は1室にシャワーヘッドが4つあるタイプで、私はおっさんら3人に紛れて浴びることになった。
わけわかない言葉が飛び交い、無邪気にキャッキャキャッキャ騒ぐおっさん達に、世界平和を感じた。
久しぶりのシャワーでリフレッシュができたが、マメの状態が良くなく、歩くだけでも痛い状況であった。
ここはマッサージもしてくれるため、マッサージルームへ向かうが大渋滞。
名前とゼッケンNo.を書いて順番待ちするが、たぶん、2時間はかかるので、先に寝ることにした。
スタッフに2時間寝たいと伝えたら、空いてるベッドを勝手に使って構わないと言われ、アラームは自分でセットして起きろ的なことを言われた。
Cogneと違い、ベッドの寝心地は最高であったが、暑くて毛布は入らなかった。
しかしそう感じるより先に夢の中にいた。
次は4th stage・・・正念場だ・・・
迫り来る足音が近づいてきていることを、この時はまだ知る由もなかった。
3rd stage
距離 46.6km
所要時間 11時間34分 LB滞在時間 3時間28分
(4th stageへ)
前回の2nd stage編はこちら
過去の記事はこちら
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