2015年09月09日
ファストパッキングで鷲羽岳に行ってきた
早朝に目を覚ました時は、まだ穏やかな天候であったが、その後ポツリポツリと降り始めた雨は強風とともに一気に豪雨と変わった。
一見頼りなさそうに見える小さな薄っぺらい我が家は左右に大きくバタバタと揺れるものの、風をうまく受け流し、倒壊することなく立ち続けてくれた。
この状況で撤収、下山を決断するかしばらく悩んだが、まぁしばらく様子をみようということになり、ボクは再度寝ることにした。
黒部川の源流を有する鷲羽岳は、百名山登山でアクセスが良くなった昨今であっても一般的には日帰りは厳しい北アルプスの深部にある。
今回は、2週間もの間、降雨が続いたほんの1日の晴れ間を狙ったファストパッキングで、もしもの天候悪化の際に比較的下山しやすいようにアクセスのいい双六小屋のテン場をベースとし、行き先は黒部五郎岳か、鷲羽岳経由で水晶岳までのピストンか、はたまた西鎌尾根を経由して槍ヶ岳を回る周回かとルートを色々と検討していたのである。
新穂高温泉の駐車場で目が覚めると神々しく朝日が北アルプスの山々を射しており、ボクらは気分揚々とスタートすることができた。
雨が降り続き増水した左俣谷の川を横目に、かのっちのUTMBの話で盛り上がりながら朋ちゃん、杉ちゃんの四人で長い無機質な林道を上る。
その先の小池新道は歩きやすい岩場が続き、背後に笠ヶ岳、焼岳、右手には穂高連峰、槍ヶ岳に囲まれて高度をドンドン上げていける区間であった。

鏡平山荘
弓折岳から双六方面の稜線近くの道は草木とトレイルのコントラストがとても美しかった。

ほんと絶景だった穂高連峰と槍ヶ岳。

ここは登山者は少ないのでじっくり景色が堪能できる。
このコースは登り一辺倒だけど、1週間前にUTMBを素晴らしいタイムで完走してきた屈強なランナーにひっぱってもらい、双六小屋にはあっという間のお昼に到着してしまう(ペースはCT65% 途中休憩込)
小屋でまったりしているとジャッキーさんらに遭遇wしばし雑談した後にテントを設営して、午後はどうしようかと悩む。
とりあえず、ボクらは時間があるので、三俣蓮華岳まで行ってみることにした。
と向かっていると、風空君とナオ君に出会ったw というのも前日から入山していることは知っていて、双六小屋で落ち会う約束をしていたのだ。
このとき、上空の雲は厚く、このままでは悪化する気配があるため、三俣蓮華岳まで行かずに一度戻って、我々だけで双六岳を目指すことにした。
緩やかな稜線の双六岳は百名山、二百名山でもないものの、とても特徴のある山で、思わず走りたくなるトレイルを持っていた。

下山してからは小屋の片隅でこっそりと宴会w久しぶりに会う仲間と語り合うのはやはり楽しい。

翌日、明け方は晴れていたものの、日の出頃から激しい降雨と強風になる。
やむを得なく一時間程フテ寝すると、幸運なことに天候が好転したため、即撤収。二日目は想定外の遅めのスタートとなった。
この日は昼からからずっと雨の予報がでていたので、スピードをあげるため、不要な荷物をデポし鷲羽岳を目指すことにした。
レースのように終始無言のスピードハイクで道を巻いて三俣山荘に到着すると、目の前には、まるで鷲が両翼を広げたかのように威風堂々とした鷲羽岳が立ち塞がる。
序盤の九十九折の登りは強風と急登に加え、酸素が薄いのか力が入らなくて、かなりキツかった。

誰もいない頂に四人で佇む。
曇り空で山頂からの景色は期待していなかったが、実際に登頂してみると雲がなく360度パノラマ絶景が目の前に前に広がっていた。

絶景に感動
ヒトというのは欲どしいもので、登頂すれば、目の前にある黒光りする横の水晶岳に行きたくなったりするのだが、雨雲とのスピードを争っている今日は、断腸の思いで双六小屋に戻らざるをえなかった。
やはり、予想どおりに双六小屋手前からはずっと雨となり、下りの濡れた岩で歩きづらかった。
スブ濡れになりながら何度もスリップし、自身の体幹のなさを恨む下山は楽しいものでもなかったが、登りでは気づかなかった緑の中から可愛いナナカマドの赤い実が沢山がなっているのが見え、後一ヶ月もすると紅葉で真っ赤になるんだろうなぁと次の山行のことを考えながらシミジミと下山した。
---備忘録 わきメモ---
ベースウェイト4540g
水、iPhoneなし総重量657g(ストック、行動食込)
---主な装備---
アイテム名 | ブランド等 | 重さ(g) |
ザック | Macpac Amprace25 | 910g(公表値) |
シュラフ | Rab Quantum Top Bag AR | 430g(公表値) |
マット | KLYMIT INERTIA X-LITE | 175g(収納袋込) |
ツェルト | fine track ツエルトIIロング | 376g(ダイニーマガイライン、フルシーム済) |
火器類 | SOTO SOD-300S,ガス缶PRIMUS PG110 | 77g(収納袋込),160g(使用後計測) |
patagonia nano puff245g
Sky High Down Pants 60 195g,
HAGLOFS GRAM COMP PULL 188g,
うち未使用品
IMCO ライター2本
Fold A Cup
SOL エマジェンシーブランケット
今回の初持参は「かにぱん」を。
これ、食後のクッカーを拭きとるのに水分吸収がいいんです。
もちろんハイカロリーなので行動食でも使えます。

失敗したのは高度を上げると気圧の関係でパンパンに膨れて邪魔。ジップロックに最初から移しかえてからもっていけばよかったと反省。
過去の記事はこちら

2014年08月06日
北アルプストレーニングに行ってきた(笠ヶ岳)
頂上に手が届きそうになるところまで来ると、そこにはもう植物はなかった。
岩が重なりあった、風だけが通る絶巓(ぜってん)だった。
なだらかな、かなりの広さを持った頂上だった。
我々は笠ヶ岳頂上に立った。
播隆上人(ばんりゅうしょうにん)は1823年に笠ヶ岳を再興した際に対峙する槍ヶ岳の開山を心に決めたという。
前日の槍ヶ岳山行の際に見た雄大で神々しく姿は圧巻だった。
しかしながら、穂高エリアの端にあることから、訪れる機会が少ない山。
しかも、長い急登が続くルートが多いことから下山に利用する方が多く、マイナー感は少しぬぐえない。
でも、ここのクリア谷のルートは標準コースタイムが9.5時間の登り一辺倒であり、UTMBやYNMCなどの長い登りがあるレースの練習には最適といわれるコース。
前日の槍ヶ岳ピストンで疲労感は少なからず残っており、帰りの時間制限も考慮すると、スタートを6:00で、5時間突っ込んで登り、タイムオーバーすれば、ピークを踏めなくても、そこで引き返そうというプランを立てる。
スタートの時、早朝にも関わらず我々を見つけた登山口前にある槍見館のお兄さんが、写真を撮ってくれた。
あざーす。

クリア谷ルートには山頂を超えた先に山小屋がある。
なので、途中で給水の心配になるが、沢沿いを通る道であるため、補給には困らない。

かなり美味しかったw
クリア谷ルートは走れる部分は少なく、大半がスピードハイク。
しかも、スリッピーな箇所が多いため、登りは良いが下りは注意が必要かと。
時折、顔を除かせる穂高連峰は絶景で、天気が良ければ稜線から一望できる景色はかなりいいと思う。

この日は大キレット〜焼岳までパノラマまで見えた。
天候は曇天。
しかも、稜線に出るとガスの中で眺望ゼロ。
途中からは先行者、すれ違いもなくなり、我々は細く長い稜線を雨雲の中で、もがきながら進んだ。
山頂付近になると雪渓と岩稜帯が中心となるが、ハイマツの隙間に咲く可憐なシャクナゲの花に自然の偉大な力を感じた。
山頂はガレガレの平たい岩が積み重なっており、浮石の中を歩くことになる。
ようやく4.5時間で登頂完了。
本来なら絶景が広がるはずの頂上だけど、ほんとガスが酷すぎw

時間もあまりないので、小屋に寄らずに、そのまま踵を返し下山することに。
下りは、昨日の槍ヶ岳ピストンより楽しいけど、小雨が降っていたこともあり、スリッピーで、捻挫や転倒に気をつけて何とか無事に下山。
今回はトレーニングメインだったので、テン泊や小屋泊の選択なし。
二日にわたるピストン山行は、ほんと上って下ってだけなので、精神的にキツくて面白くないけど、今後の血肉となるんだと信じたい。
高山だけが山じゃないけど、やっぱり久しぶりに見るアルプスの景色はたまらない。
なので、
また、行こう。
また、登ろう。
そう誓った。
過去の記事はこちら

2014年08月05日
北アルプストレーニングに行ってきた(槍ヶ岳)
岩のにおいがした。
岩の表面にこびりつくように生えた苔が水を含んだとき、ふと発するにおいだった。
それは槍の穂が我々を迎えるための歓迎の香煙のように心にしみた。
播隆上人(ばんりゅうしょうにん)が1828年に開山した槍ヶ岳は日本で5番目に高い山
その穂はハシゴがなければクライマーでしか登れない独特の形をした垂直の塊

日本百名山を著した深田久弥は、「一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。」と書いたのは、あながち間違いでなく、山屋であれば一度は登ってみたい場所、それが槍ヶ岳
今回はUTMB、川場村 山田昇メモリアルカップ(YNMC)のトレーニングを目的とした登り練習でここにやってきた。
当初は、ハイカーの少ない別エリアを検討してたけど、最終的に関東、関西からアクセスの良い穂高エリアとした。
といっても上高地から槍ヶ岳にあがるルートはハイカーさんらが多く、接触機会も増えることから、今回は比較的ペースを維持できそうな新穂高温泉から登ってみることにした。
とりあえず、右俣林道〜槍平小屋〜飛騨乗越〜槍ヶ岳山荘まで突っ込んで、時間、天候を見て、西鎌尾根〜双六小屋〜弓折岳〜鏡平山荘〜左俣林道で下山することを考慮して進む。行動時間は約12時間と試算。最悪でも左俣林道にまでにはヘッデンなしで下山できるようにタイムを気にしながら進むことに。
スタートは少し遅めの6:30
新穂高温泉の駐車場からスタートしようとすると、南信州HIKER'S+のナオ君とシン君とばったり出会う。
行き先は、周りで非常に盛り上がってる双六小屋方面だということなので、うまく行けば夕方に再会できるかもと思いながらエールを送って分かれる。
序盤の右俣林道はOSJのおんたけ100kmのようながコースが1時間程続く。
途中から石の多いトレイルとなるが、槍平小屋までは淡々と登る。
このルートは上高地、東鎌尾根、西鎌尾根とは違い、槍ヶ岳山荘に到着するまで、まったく槍の穂先が見えないちょっとだけ残念なルート。
ただ、後半も比較的登りやすい斜度でかつ、登り一辺倒なのでトレーニングには最適かと。
休憩しながら、遊びながらで4.5時間で槍ヶ岳山荘に到着
この時に空は、好天となり山頂は絶景!

穂先へのルートは渋滞しているように見えなかったので行くことにしたが・・・実際は下りてくるまで1時間もかかった。
天気が良いので、槍ヶ岳山荘でカップ麺を購入してまったりする。

小屋で確認したこの日の天候は午後から一部で雨と雷。
先の双六岳までの稜線を走ろうとしたが、穂先の渋滞とカップ麺休憩で時間を費やした結果、西鎌尾根との出合の千丈乗越で真っ黒な雨雲の中に入ってしまう。
防寒具、雨具は持っているとはいえ、トレランスタイル4人で3000m超で天候悪化 は怖いので、断腸の思いで下山を決断。
千丈分岐点まで戻り、来た道を下る。
登りで気づかなかった、下りの単調なトレイルは危なくて走れないし、長くて超飽きた。
下山してからは、近くの中尾キャンプ場へイン。
ここ、温泉がキャンプ場内に沸いてて、無料で大きな露天風呂に入浴できる。
しかも、80度の温泉は使い放題で、ゆで卵や温野菜を簡単に作ることが可能で便利。ボクは夕飯の缶詰を温めましたw

このシステムを知り、次に来る時はタンパク源として、たくさんのゆで卵を食べようと心に決めましたw
ここは色々と制約があってうるさいけど、とても静かで趣のあるキャンプ場ですよ。
そして、翌日、後方にそびえ立つ、あのでっかい山に登るため、少しのアルコールを口に含んで、ボク達は21時頃に就寝したのでしたzzz

過去の記事はこちら

2012年08月30日
涸沢フェスティバルと穂高3座を攻めてみた2

1日目はこちら
ずみきちさんと一緒に登った穂高の山々。
今回、ついでに涸沢フェスティバルをつまみ食いしながらの山行でした。
前日に急遽決定したルートは、北穂高岳から涸沢岳経由の奥穂高岳へ。
いやはや、これがまた楽しいスリリングなルートだったんですよ。
外遊びって楽しいよね!続きの前に
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2012年08月28日
涸沢フェスティバルと穂高3座を攻めてみた

涸沢カールのモルゲンロート
今回、ずみきちさんと穂高へ山行
しかも、山と渓谷社の主催の涸沢フェスティバルにちょこっと顔出し付きw
前回の涸沢ではさんざんな天候でしたが、今回はどうなることやら。
北穂高に登る?
いやー、やっぱり奥穂高っしょ!
と、道中でどういうスケジュールにするか考えながらのお気軽山行でした。
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2012年06月12日
ワラワラ、からさわカルテット(涸沢カール2012.06)

左から、macpac cascade50,Ultralight Adventure Equipment OHM,Mountain Laurel Designs PROPHET,GREGORY Toriconi60
あれは昨年の八経ヶ岳の山行の時でしたっけ?
『涸沢で生ビール』を飲むって話になったのは。
今回は、それを有言実行したお気軽な居酒屋放浪記です。
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